2020年2月10日に第92回アカデミー賞が開催され、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が、アカデミー賞で最高賞である作品賞他4冠を獲得するという快挙を成し遂げました!アジア映画がハリウッド史に爪痕を残した、歴史的瞬間といえるでしょう!気になるのはそんな快挙を成し遂げた製作陣による喜びのスピーチですよね!本記事ではそんな『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノによる授賞式でのスピーチを全文和訳でご紹介します。
『パラサイト 半地下の家族』部門別 スピーチ全文和訳
『パラサイト 半地下の家族』は、第92回アカデミー賞にて作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞しました。非英語作品の作品賞受賞は、アカデミー史上初めてのことであり歴史的な快挙です!
それでは、早速賞を受賞した喜びのスピーチを全文和訳にてご紹介します。
脚本賞
スピーカー:ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン
脚本賞は、最も優れた原作のない”オリジナル”の脚本を評価する部門です。原作のない白紙の状態から作られるストーリーには、独自性と創造性、そして洗練されたセリフを描く脚本が多く評価されています。
ポン・ジュノ:ありがとう!光栄です。シナリオを書くのは孤独で寂しい作業です。国を代表するわけではありませんが… これは韓国初のオスカーです。ありがとう。いつも多くのひらめきをくれる妻に感謝しています。セリフに命を吹き込んでくれた出演者たちにも感謝します。
ハン・ジンウォン:監督に感謝します。母と父にも感謝します。韓国のハリウッド・チュンムロという街があります。チュンムロの映画人たちとこの栄光を分かち合いたいです。アカデミーに感謝!
国際長編映画賞
スピーカー:ポン・ジュノ
国際長編映画賞は、最も優れた、外国語(英語以外)の映画を評価する賞です。
日本映画では、1952年に巨匠・黒澤明監督『羅生門』や最近だと2009年に滝田洋二郎監督『おくりびと』が受賞しています。2019年までは”外国語映画賞”という名前でしたが、2020年から”国際長編映画賞”に改名されました。
ポン・ジュノ:ありがとう!とても光栄です!カテゴリー名が”外国語賞”から”国際長編映画賞”に変わり、最初の受賞作品となり嬉しいです。その名が象徴するオスカーの方向性に支持と拍手を送ります。
映画を共に作った出演者とスタッフが来ています。
ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チェ・ウシク、チャン・へジン、パク・ミョンフン、パク・ソダム、イ・ジュンウン。撮影のホン・ギョンピョ、イ・ハジョンとヤン・チンモ。
全ての芸術家に賛辞を送ります。バルンソン CJ NEONの方々にも感謝申し上げます。感謝します。今夜は酒を飲み明かすぞ!ありがとう!
監督賞
スピーカー:ポン・ジュノ
監督賞は、最も優れた映画監督を評価する賞です。
映画監督として最も誇り高き名誉ある賞といえるでしょう。
ポン・ジュノ:ありがとう。国際長編映画賞をいただき、てっきり”今日の仕事は終わった”かとと…。本当にありがとうございます。昔この言葉を胸に映画を学んでいました。
”最も個性的なことは、最もクリエイティブなことだ”
本で読んだのですが誰の言葉かというと… その言葉は、偉大なマーティン・スコセッシの言葉です…。スコセッシ監督の映画で勉強した私が一緒にノミネートをされただけではなく受賞するとは…。
また、私の映画がまだアメリカで知られていない頃から推してくれたタランティーノ監督を愛しています。クエンティン、愛してるよ!
一緒にノミネートされた皆さんも私が尊敬する監督です。許可していただけるならトロフィーをテキサスチェーンソーで5つに分けたいです(笑)
ありがとう。朝まで飲み明かします!
今回のスピーチで1番感動したのは間違いなく監督賞でのポン・ジュノの言葉。彼が監督として尊敬するマーティン・スコセッシ本人にアカデミーの場で直接”ありがとう”と伝える場面では、会場みんなが席をたちスタンディング・オベーションをしました
作品賞
スピーカー:クァク・シネ、イ・ミギョン
アカデミー賞で最も目玉で最重要部門なのが作品賞で、最も優れた映画に与えられる賞です。ちなみに受賞するのは監督ではなく、作品のプロデューサーです。
スピーチではまず、プロデューサーのクァク・シネが話します。
クァク・シネ:言葉が出ません…。想像もしていなかったことがこうして起こりました。非常に嬉しいです。大きな意味のある瞬間です。象徴的で時代にふさわしい。歴史がくして作られたような気分です。このような決定をしてくださったアカデミー会員の方々に敬意と感謝を表します。ありがとうございます。
”スピーチは45秒以内”という決まりから、早めにスピーチを切り上げようとしたクァク・シネ。しかし会場は「もっと!もっと!」とスピーチを促します。
次に、スピーチしたのが韓国のCJグループの副会長、イ・ミギョンです。
彼女は韓国文化界では多大な影響力を持っており、本作はCJグループの傘下にある制作・配給にて制作されました。『パラサイト 半地下の家族』の受賞にはイ・ミギョン副会長の功績が大きかったとも言われています。
イ・ミギョン:こんばんは。ポン・ジュノ監督に感謝します。ありがとう。自分らしくて素敵な人です。笑顔もボサボサな髪型も、話し方も歩き方も監督の手腕も素晴らしい。特に好きなのはユーモアのセンス。自分のことを笑いの種にできる人でふざけてばかり。本当にありがとう。この映画を支えてくれた全ての方に感謝します。
制作スタッフや作品を気に入ってくれた人、そして夢を追いかけろと支えてくれた私の弟。不可能に見えても応援してくれた。弟のジェイに感謝します。そして特に感謝したいのは、韓国の映画ファンの皆さん。これまで多くの作品を観てくれました。そして常に正直な感想を私たちにぶつけてくれました。おかげで決して自己満足することなく、さらにクリエイティブな映画を作ろうと努力できました。韓国の映画ファンなくしてこの受賞はありえません。本当にありがとうございました。
まとめ
以上、『パラサイト 半地下の家族』部門別 スピーチ内容全文和訳をご紹介いたしました!
今年、アカデミーの歴史に残る快挙を成し遂げたポン・ジュノ監督と『パラサイト 半地下の家族』映画製作陣。その日は「朝まで呑み明かす!」とスピーチで2回もお話されていました(笑)
これまでアメリカ映画しか評価されてこなかったハリウッドにアジア映画が快挙を成し遂げた、これは映画の歴史を変えた本当に画期的な瞬間だったと言えるでしょう。
日本ではまだ絶賛公開中ですので是非観に行ってくださいね!
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