不朽の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』は、イタリア・シチリア島の田舎町を舞台に、主人公の少年と映画館映写技師との友情を描いた人間ドラマ。
日本における90年代ミニシアターブームの立役者となった名作映画でもあります。
現在でも「午前十時の映画祭」や各映画の上映イベントなどで頻繁に再上映されているので、老若男女問わずにみんなから愛され続ける映画。私もそんな『ニュー・シネマ・パラダイス』大ファンの中の1人です。
この映画が大好きすぎて、映画の舞台となったイタリア・シチリア島のパラッツォ・アドリアーノという田舎町に行ってきました(笑)
本記事では、そんな『ニュー・シネマ・パラダイス』のロケ地巡りの感想や必見スポットを整理して徹底的にご紹介します!
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』について
まずは映画『ニュー・シネマ・パラダイス』について簡単にご紹介します。
1.概要
『海の上のピアニスト』や『マレーナ』などを手がけているイタリアの巨匠、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の代表作。
イタリア・シチリアの田舎町を舞台に、少年トトと映写技師アルフレードの友情、青年トトの恋模様、そして二人の未来について描かれる人間ドラマです。音楽は常にトルナトーレとタッグを組むエンニオ・モリコーネが担当。
1989年にはカンヌ国際映画祭審査員特別賞、そしてアカデミー外国語映画賞を受賞。
日本では、通常版(2時間)とディレクターズカット版(3時間)の2バージョンがあり、
ディレクターズカット版には初老になったトトの現在の恋物語が追加されています。
私はディレクターズカット版の方が好き。
また、日本のミニシアターブームを支えた作品の中の1つで、公開当時はあまりの大ヒットに上映館だったシネスイッチ銀座では人が絶えず、1年中『ニュー・シネマ・パラダイス』のみを上映していたという武勇伝があります。
2.あらすじ
ローマに住む映画監督のサルヴァトーレ(ジャック・ペラン)は、ある晩に故郷・ジャンカルドに住む母親から電話を受け「アルフレード(フィリップ・ノワレ)が亡くなった」と告げられる。無言のまま電話をきったサルヴァトーレは、ベッドの中でアルフレードとの懐かしい少年時代の思い出を振り返る…。
第二次世界大戦が終結したばかりの頃、「トト」と呼ばれていた幼い少年サルヴァトーレ(サルヴァトーレ・カシオ)は、シチリア島の田舎の町で妹と母との3人暮らし。
村で唯一、教会を兼用した小さな映画館「パラダイス座」はトトのお気に入り場所で、時間があればいつも映画館へ行き、映写技師のアルフレードがいる映写室へ忍び込んでは、捨てられた映画のフィルムをこっそり盗むのだった。
勝手に映写室へ忍び込むトトに、はじめアルフレードは厳しく叱るが、映画館に対するトトの情熱を感じ、徐々に2人の間に友情が芽生えていく…。
原題(イタリア語) | Nuovo Cinema Paradiso |
英題 | Cinema Paradiso |
製作国 | イタリア、フランス |
ジャンル | ドラマ |
上映時間 | 155分(通常版) 170分(ディレクターズカット版) |
監督・脚本 | ジュゼッペ・トルナトーレ |
キャスト | フィリップ・ノワレ、ジャック・ペラン、サルヴァトーレ・カシオ、マルコ・レオナルディ、アニェーゼ・ナーノ |
ニュー・シネマ・パラダイスのロケ地は、シチリア島のパラッツォ・アドリアーノ
まずはじめに、映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の舞台となったパラッツォ・アドリアーノ(Palazzo Adriano)についてご紹介します。劇中では、「ジャンカルド」という架空の町が舞台となっていますが、そのロケ地がここパラッツォ・アドリアーノです。
1.パラッツォ・アドリアーノ(Palazzo Adriano)はシチリア内陸部の小さな町
パラッツォ・アドリアーノは、イタリアのシチリア島西部にある人口約2200人の町。
標高700mの山奥の上にあり、交通の便が悪いため観光客があまり来ない、静かでのんびりとした田舎町です。
町の人もとても気さくで親切なので、気軽に話しかけてくれます。
2.パレルモorタオルミーナからのアクセス方法
パラッツォ・アドリアーノは、とても小さな町なので、日帰りで十分に観光できます。
しかし残念ながら、交通便は良くありません(泣)
なんせ山奥の上にある小さな町なので、メイン都市のパレルモからでもバスで3時間以上かかります。
パラッツォ・アドリアーノに行く主な方法は、2パターン。
- パレルモから早朝のローカルバスに乗る
- パレルモorタオルミーナ発のツアーを申し込む
パレルモに滞在するのであれば、バスで向かうことも可能です。
ただ、パレルモ中央駅のバス停(AST)から早朝6:30のローカルバスに乗らなければいけません。
次に11:00発のバスがありますが、帰りのバスは13:45か15:45の2本のみ。
移動時間は片道約3時間かかるので、 どうしても始発に乗る必要があります…。
一方、値段は高くなってしまいますがツアーという方法もあります。
ちなみに私はシチリアクラブという専門車ツアーでタオルミーナから行くことにしました。
約5万円と高額でしたが、丸一日のプライベートツアーでしたし、運営元に電話すればいつでも日本語対応してくれるサービス付き、そして友人数名とシェアできたので、まあ良いかなと思います(笑)
運転手さんも親切なイタリア人のおじさんで、英語で会話もできました。
私はタオルミーナから出発し、片道約4時間かけて山道を抜け、ようやくパラッツォ・アドリアーノに到着しました。
3.町の雰囲気
ようやくパラッツォ・アドリアーノに到着し、町の中心の広場であるウンベルト一世広場へ。
町に一歩はいると、映画の世界がそのまま存在しているかのような風景が広がります。
パラッツォ・アドリアーノはレンガ造りで全体的にセピア色で、色が多くありません。
さらに人が全然いなくて静かでのんびりとしています。それがまた哀情を感じさせます。
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』博物館
パラッツォ・アドリアーノに着いたら、まずはニュー・シネマ・パラダイス博物館へ行きましょう!
必須なのかは不明ですが、この博物館で町の訪問記帳に名前を記入するように案内されたので、まずは博物館へ行くことがベターかと思います。
1.ファン必見!ニューシネマパラダイス博物館とは?
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』好きにとって堪らない場所になること間違いなしなのが、ニュー・シネマ・パラダイス博物館です。
映画の中で使用された小道具やセットの一部、そして撮影風景の写真などが展示されています。
パラッツォ・アドリアーノの市庁舎の1階にある観光インフォメーションの右側にあり、入口にいるスタッフに尋ねれば鍵を開けて中に入れてくれます。
インフォメーションのおばさんがすごく親切な方で、色々と説明してくれましたがイタリア語だったので、ツアーのイタリア人運転手が英語に翻訳してくれました(それでも理解できない部分があった…)
ちなみに、この博物館のBGMは「愛のテーマ(ニュー・シネマ・パラダイスのメイン曲)」がエンドレスで流れていました(笑)
住所 | Via Skanderbeg, 2, 90030 Palazzo Adriano PA, イタリア |
入場料 | 1ユーロ |
営業時間 | 9:00~13:00、15:00~19:00 |
定休日 | 年中無休(特別な場合を除く) |
2.撮影に実際に使用された小道具やセットが展示されている!
博物館の中には、劇中で実際に使用された小道具やセットが展示されてあります。
- アルフレードとトトが二人乗りをした自転車
- アルフレードが使用していたハット帽子・杖
- 映画館パラダイス座のイス
- 少年トトがコートをかけていた聖母マリア像
- 町の住人が野外上映の時に使用していたイス
アルフレードとトトが二人乗りをした自転車は、ポスターにもなっているので有名ですよね。
これらの小道具とセットは実際にまたがったり、触ったりすることができるので、記念写真は必須ですよ!!
3.当時の貴重な資料やオフショット写真を見ることができる
博物館には、映画の写真をはじめ、撮影当時のオフショットなどが壁一面に展示されています。
さらにニュー・シネマ・パラダイスに関する書籍やアート作品なども見ることができます。
トルナトーレ監督と打ち合わせをするジャック・ペラン(左上)、そして劇中では決して共演することができない、大人トトとアルフレードのツーショット(右上)が…。
フィリップ・ノワレは劇中では平凡な映写技師を演じていますが、オフショットではまるでイタリアンマフィアのようですね(笑)
そして個人的に一番感動したのはこちらの写真です。
少年トトを演じたサルヴァトーレ・カシオと、青年トトを演じたマルコ・レオナルディの超貴重なツーショット写真。映画では同じ”トト”を演じるため、決して一緒に共演することがない2人を、この博物館では見ることができます。
まるで少年時代のトトと青年時代のトトが時代を超えて巡り合ったかのようです。
パラッツォ・アドリアーノのロケ地スポットまとめ
博物館を後にして、早速、映画の名シーンのロケ地を巡ります。
ここではパラッツォ・アドリアーノにある、ニュー・シネマ・パラダイスの必見スポットを整理してまとめました。
是非参考にしてくださいね!
- 噴水(ウンベルト一世広場)
- トトがエレナを口説いた教会+アルフレードのお葬式の教会
- アルフレードの家
- トトの家
- パラダイス座の内部として利用されていた教会
- ニュー・シネマ・パラダイス博物館
- 映画スタッフが毎日通っていたというレストラン(後述にて紹介)
1.噴水(ウンベルト一世広場)
まずは町の中心地であるウンベルト一世広場にある、噴水です。
劇中でもたくさん登場するこの噴水は、パラッツォ・アドリアーノのシンボル。
中心部にあるので簡単に見つけることができますよ。
この水は飲むことができるようですが、私は怖くてやめておきました。。
2.トトがエレナを口説いた教会+アルフレードのお葬式の教会
ウンベルト一世広場に面している、Maria santissima del lumeという教会。
ここでは、劇中に青年トトがエレナを口説こうとしたシーンが教会内で撮影されました。
また、アルフレードのお葬式もこちらで撮影されています。
外観がそのままなので映画のシーンと同じアングルから写真をとってみていかがでしょうか?
3.アルフレードの家
青年トトが盲目になったアルフレードを迎えに行き、支えながら歩く場面で撮影されました。
広場から近い所にありますが、路地の中にはいるので、見つけるのが少し難しいです。
現在は、一般の人が暮らしているようなので静かに観光しましょう。
4.トトの家
広場から少し歩いたところにあるのが、トトの家です。
ここでは、トトが収集していた映画のフィルムが燃えて妹が泣いてしまい、トトが母親に怒られるシーンが撮影されました。
現在は、誰も住んでいなく廃墟状態になっているようです。
ここもひっそりと路地の中にあるので見つけるのが難しいです。
5.パラダイス座の内部として利用されていた教会
実際の映画館パラダイス座はセットだったので現在は、もうありません。
しかし館内は、Chiesa Madonna Del Carmelo教会で撮影されました。
私が行ったときは、扉が閉まっていて中に入ることができませんでしたが、
教会外の階段を上るとパラッツォ・アドリアーノの景色を楽しむことができますよ。
本格イタリアンを食べてきた!
映画のスタッフが撮影期間中によく通っていたというイタリアンレストランが「RISTORANTE PIZZERIA DEL VIALE」です。
店内には撮影当時の写真などが壁に展示されているので、料理の待ち時間も楽しく過ごすことができます。また、家族経営なのかお母さんとその息子さんが当時の話を色々としてくれました。
パラッツォ・アドリアーノに行ってみての感想
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』好きには堪らない、映画の世界がそのまま残った町でした
『ニュー・シネマ・パラダイス』が好きな人にとっては、本当に特別で堪らない思い出になること間違いなし。
そうでない人でも、パラッツォ・アドリアーノの街並みは哀愁漂っており、静かな田舎町だったのでイタリア観光としても十分楽しめると思います。
どうしても山奥にあって交通便が悪い所がネックですが、一日かけてここに行く価値はありますし、山奥にひっそりと存在する小さなコミュニティを味わうことができますよ。
いつかまた行きたいところです。
是非、皆さんも気になったら行ってみてください!
パラッツォ・アドリアーノに行くなら、タオルミーナで宿泊するのがおすすめ!
眺めは最高ですし、昔ながらのオシャレな街並みを楽しむことができるタオルミーナ。
しかも、映画『グランブルー』や『アクアマン』のロケ地でもあるので、映画ファンには絶好のロケ地巡りができること間違いなし!
ちなみに、『アクアマン』ではこのタオルミーナの街が、ド派手にぶっ壊されます(笑)
注意点
最後に、パラッツォ・アドリアーノに行く際の注意点をまとめました。
- アクセスを考慮して、宿泊する場所はパレルモかタオルミーナにしよう
- パレルモからバスで行くなら時間に限りがあるので遅れないように注意しよう
- 山道のカーブが沢山あって長時間移動なので、車酔い対策をしておこう
- バスの運転手、町の住人は基本的にイタリア語しか話せません!簡単なイタリア語はメモしておこう。
基本的に日帰りで行くことができるパラッツォ・アドリアーノですが、バスの場合は要注意です!本数が本当に少ないので気を付けましょう。
まとめ
今回は、
- 映画『ニュー・シネマ・パラダイス』について
- シチリア島のパラッツォ・アドリアーノについて
- 映画『ニュー・シネマ・パラダイス』博物館へ
- パラッツォ・アドリアーノの映画ロケ地スポットまとめ
についてご紹介しました!
国内やアジアのように気軽に行くことは難しいかもしれませんが、
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』が好きなら一度は行っていただきたいおすすめの場所です!
是非、この記事を参考にしてくださいね!
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