Black Lives Matterの今だから観たい！人種差別について考えるおすすめ映画7選

黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官の暴行で死亡したことをきっかけに、全米各地で警官の不当暴力に抗議する「Black Lives Matter（ブラック・ライヴズ・マター）」が今世界で広がっています。日本でも頻繁にニュースになっていますし、渋谷などで抗議デモも起きているほど現在大きな社会問題になっていますよね。

そんな中で、改めて見直されている「人種差別」というテーマ。映画では昔から人種問題を扱う作品が多く制作されており、人種差別の愚かさや課題点を浮き彫りにしてきました。本記事ではそんな「Black Lives Matter（ブラック・ライヴズ・マター）」運動下の現在だからこそおすすめしたい、人種差別について考えさせられるおすすめの映画をご紹介いたします。

人種差別について考えるおすすめ映画7選

1960年代に公開された不朽の名作『アラバマ物語』（1962）

『ローマの休日』の名優グレゴリー・ペックが主演する『アラバマ物語』は、人種差別が根強く残る1930年代のアメリカ南部を舞台に白人女性への性的暴行容疑で逮捕された黒人青年の事件を担当することになった弁護士の物語です。

1932年、アメリカ・アラバマ州にある小さな町。弁護士のアティカス（グレゴリー・ペック）は、幼い息子のジェムと娘のスカウト、家政婦の4人で暮らしていた。ある日、農夫ボブが「娘が黒人の作男トムに強姦された」と保安官に訴える。判事は罪を否認するトムの弁護人にアティカスを指名した。町の人々は黒人を弁護したらただではすまないとアティカスに警告する中、アティカスは不正と偏見に対して違和感を覚えるのだった…。

本作は、ハリウッドを代表する名作の1つなので、英語や歴史の授業で観たことがあるという方もいるのではないでしょうか？現在では人種差別について取り扱った作品は沢山ありますが、1962年という時代に黒人差別問題を扱っているのは映画史にも残る貴重な作品だと思います。未鑑賞の方は是非観てみてくださいね！

夢見る３人の黒人女性シンガーを描いた『ドリームガールズ』（2007）

次におすすめするのが、ビヨンセ主演の黒人差別問題をテーマにしつつもエンターテイメントとしても楽しめるミュージカル映画『ドリームガールズ』です！同名ブロードウェイ・ミュージカルを映画化した本作は、2007年アカデミー賞にてジェニファー・ハドソンが最優秀助演女優賞を受賞。ストーリー・衣装・キャスト・音楽、何もかもが最高のミュージカルエンターテイメントと言えるでしょう！

1962年。音楽での成功を夢見るエフィ、ローレル、ディーナの３人は、“ドリーメッツ”というグループを結成して、新人オーディションへの挑戦を繰り返していた。そんな彼女たちに大きな可能性を見出したのが、中古車販売会社を経営するカーティス。マネジメントを買って出た彼は、地元の人気シンガー、ジェームス・アーリーのバックコーラスに抜擢する。彼らのパワフルなステージは全米の注目を集め、“ザ・ドリームズ”に改名してデビューしたディーナたちはスター街道を歩み始めるが・・・。

本作は、人種差別と戦いながらミュージシャンとしての夢を諦めずに追い続ける「ドリームガールズ」を明るく楽しく描いているので、気軽に見ることができます。

人種を超えた友情を描く『グリーンブック』（2018）

人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカを舞台に、黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を描いた感動ドラマ『グリーンブック』。実話をもとに描いた作品で第91回アカデミー作品賞を受賞しました。

1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニー・リップは、粗野で無教養だが口が達者で、何かと周囲から頼りにされていた。クラブが改装のため閉鎖になり、しばらくの間、無職になってしまったトニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに運転手として雇われる。黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーにでかけようとするドクター・シャーリーと、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、その旅に同行することになったトニー。出自も性格も全く異なる2人は、当初は衝突を繰り返すものの、次第に友情を築いていく。

差別と偏見をテーマにポップに描いた『ヘアスプレー』（2007）

同名ブロードウェイ・ミュージカルをジョン・トラボルタら豪華キャストで2007年に映画化された『ヘアスプレー 』は、人種差別が残る60年代のボルチモアを舞台にダンサーを夢見るおデブなヒロイン、トレーシーを描いたミュージカル映画。

人種差別が色濃く残る60年代のボルチモア。人気TV番組「コーニー・コリンズ・ショー」に憧れる、ちょっと太めの女子高生トレーシーは、番組レギュラーメンバーのオーディションが開催されると知り挑戦するが、見た目への差別を受けてしまう。ある日の居残り授業で、黒人生徒達のダンスに魅了されて一緒に踊り明かすトレーシーだったが、そこから黒人と白人の間に隔てられた壁に直面するのだった…。

人種差別を描きながらも、明るく楽しいミュージカル映画として気軽に見ることができます。60年代を再現したレトロでキュートなファッションなども見どころです！

キング牧師を知る、『グローリー／明日への行進』（2015）

ノーベル平和賞受賞者である”キング牧師”ことマーティン・ルーサー・キング・Jrの偉大な功績を描いた歴史ドラマ。アメリカ公民権運動の最中、アラバマ州セルマで起こった血の日曜日事件を題材にしている。主題歌「Glory」は第87回アカデミー賞で主題歌賞を受賞。

1965年3月7日、前年にノーベル平和賞を受賞したマーティン・ルーサー・キング・Jr.牧師の指導の下、アラバマ州セルマで黒人の有権者登録の妨害に抗議する600人が立ち上がる。白人知事率いる警官隊は力によってデモを鎮圧するが、その映像が全米に流れると大きな声を生み出し、2週間後に再び行われたデモ行進の参加者は2万5000人にまで膨れ上がる。事態はやがて大統領をも巻き込み、世論を動かしていく…。

黒人差別問題を知る上で、決して外せないのがキング牧師ですよね。本作はそんなキング牧師の功績や歴史的な「血の日曜日事件」について理解できる伝記映画としておすすめです。

黒人監督映画の快挙『それでも夜が明ける』（2014）

奴隷制度が色濃く残るアメリカを舞台に、南部の農園で12年間も奴隷生活を強いられた黒人男性の実話を映画化した伝記ドラマ。主人公が体験した壮絶な奴隷生活の行方、そして絶望に打ち勝つ希望を描き出した感動作。第86回アカデミー賞にて黒人監督初となる作品賞を受賞しました。

1841年、奴隷制廃止以前のニューヨーク、家族と一緒に幸せに暮らしていた黒人音楽家ソロモン（キウェテル・イジョフォー）は、ある日突然拉致され、奴隷として南部の綿花農園に売られてしまう。狂信的な選民主義者エップス（マイケル・ファスベンダー）ら白人たちの非道な仕打ちに虐げられながらも、彼は自身の尊厳を守り続ける。やがて12年の歳月が流れ、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バス（ブラッド・ピット）と出会い……。

本作は、黒人監督作品としてアカデミー史上初の作品賞を受賞するという快挙を成し遂げ、アメリカ映画史としても非常に大きな意味のある作品と言えるでしょう。

日本人と在日コリアンの少女との淡い恋『パッチギ』（2004）

次にご紹介するのは、日本人と在日コリアンについて考えさせられる名作『パッチギ』です。京都における日本人の少年と在日コリアンの少女との間に芽生える差別を超えた恋模様を描いた青春映画です。

1968年。京都にある府立東高校2年生の松山康介は、常日頃から争い事の絶えない朝鮮高校（朝高）にサッカーの練習試合を申し込むことになった。康介と友達の紀男はしぶしぶ朝高を訪れるが、そこで康介は音楽室でフルートを奏でていた少女・キョンジャに一目惚れする。しかしあろうことかキョンジャの兄アンソンは同校の番長であった。どうしてもキョンジャと仲良くなりたい康介は韓国語を必死で習得すると同時に楽器店でギターを購入。キョンジャが演奏していた「イムジン河」（임진강/림진강）を覚え彼女の前で演奏することを決意する。

私は劇中で登場する、名曲「イムジン河」のシーンがいつも切なく思わず涙してしまいます…。知っているようで意外と知らない在日コリアン。この映画はそんな在日コリアンについて知る良いキッカケになるのではないでしょうか？

まとめ

以上、人種差別について考えるおすすめ映画7選でした。

たかが映画、されど映画。
映画は様々な監督の思いやメッセージが込められた表現方法の1つです。
映画史において沢山の表現者が人権の大切さについて一生懸命伝えてきてくれました。

差別について見直されている今の時代だからこそ、もう一度映画を通して学んだり考えてみてはいかがでしょうか。