毎年2月に実施される、世界最高峰の映画の祭典・アカデミー賞授賞式！
1月13日にはノミネートも発表され、授賞式まで待ちきれない！という方も多いのではないでしょうか。アカデミー賞の授賞式において大きな目玉といえば、主演女優・男優賞や監督賞、そしてなんといっても作品賞！しかし実は、全部で24つもの部門があるのをご存知でしょうか？
これを知れば何倍もアカデミー賞を楽しむことができるはず！本記事ではアカデミー賞の全部門についてご紹介いたします！
アカデミー賞は全24部門
そもそも、アカデミー賞にはどんな部門があるかご存知でしょうか？
実は全部で24つもの部門に分かれているのです。
そんな沢山あるアカデミー賞の部門を、大きく3つに分類してみました。
- 作品種類
- キャスト
- スタッフ
本記事では、3つの部門それぞれご紹介していきます！
1. 作品種類
作品種類部門は、短編・長編、アニメ・実写・ドキュメンタリーなど映画の種類別に評価する賞です。
短編アニメーション賞・短編実写映画賞
その年にアメリカで上映された、最も優れた短編アニメーション・実写映画を評価する賞です。40分以内の映像が対象です。
短編アニメーション作品はなかなか目にする機会がないのであまり注目されませんが、2019年アカデミー賞短編アニメーションにて最優秀賞に輝い『Bao （バオ） 』は、あのピクサーが制作した作品です。
また、短編実写映画賞は言うなれば、未来の巨匠発掘部門！
『マイティ・ソー バトルロイヤル』『ジョジョ・ラビット』のタイカ・ワイティティ監督も2004年にアカデミー賞にてノミネートされた短編実写映画をきっかけに、その後ブレイクしました。
短編ドキュメンタリー賞・長編ドキュメンタリー賞
その年にアメリカで上映された、最も優れた短編・長編ドキュメンタリー映画を評価する賞です。上映時間が40分以内の場合は、短編。それ以上の場合は長編に分類されます。
ドキュメンタリーは、現代社会への批判や思想にまつわるものが多いので、アカデミー賞の中で最も論争を呼ぶ部門と言えるでしょう。
最近は、ネットフリックスをはじめとするVODが普及し、露出する場所が増えたため、沢山のドキュメンタリーがどんどん製作されているといいます。
ちなみに2020年のアカデミー賞ノミネート作品の中で注目なのは、ワアド・アル・ガデブ、エドワード・ワッツ監督『娘は戦場で生まれた』です。
内戦下のシリアで、カメラを回し続ける女学生ワアド・アル・カデブの5年間を抑えたドキュメンタリー映画で、2019年カンヌ国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞を受賞しました。日本公開は2020年2月29日です！
外国語映画賞（国際映画賞）
最も優れた、外国語（英語以外）の映画を評価する賞です。
日本映画では、1952年に巨匠・黒澤明監督『羅生門』や最近だと2009年に滝田洋二郎監督『おくりびと』が受賞しています。
長編アニメーション賞
その年にアメリカで上映された、最も優れた長編アニメーション映画を評価する賞です。
日本映画では、2003年に巨匠・宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』にて最優秀賞を獲得しました。常連組はやはりディズニーやピクサーなど。
2019年には細田守監督『未来のミライ』がノミネートされましたが、惜しくも受賞を逃しました。
作品賞
アカデミー賞で最も目玉で最重要部門なのが作品賞！
その年にアメリカで上映された、最も優れた映画を評価する賞です。
毎年、作品賞の発表は授賞式の最後のおおとりを飾り、受賞するのは作品のプロデューサーです。
第90回アカデミー賞では映画『シェイプ・オブ・ウォーター』では監督・プロデューサーを務めたギレルモ・デル・トロが悲願の作品賞を受賞し、式ではその喜びをスピーチしていました。アカデミー賞の中でも、作品賞は最も大切であり名誉となる賞なのです。
2. オスカー女優・俳優は誰？キャスト部門
キャスト部門では、その名と通り映画に出演する役者を評価する部門です。
女優と俳優（男優）に分かれており、主演とそれを支える助演がそれぞれ選出されます。
助演女優・男優賞
その年にアメリカで上映された、最も優れた助演女優・俳優を評価する賞です。
助演とは、”主役の演技を助けて演じること”という意味からきており、物語において重要な役割を演じる脇役です。日本人では、2004年に映画『ラストサムライ』にて渡辺謙がノミネートされました。
主演女優・男優賞
その年にアメリカで上映された、最も優れた主演女優・俳優を評価する賞です。
女優・俳優にとって最高の名誉といえるでしょう。
記憶に新しいのは『ラ・ラ・ランド』（2016年）にて初のオスカー女優に輝いたエマ・ストーン。劇中にて女優を目指す女の子・ミアを演じたエマが主演女優賞を受賞した瞬間、まるでミアがオスカーに輝いたかのようで感動的でした。
ちなみに2020年のアカデミー賞にて個人的に注目しているのは映画『ジュデイ 虹の彼方に』にて主演女優にてノミネートされているレネー・ゼルウィガーです！
3. 映画を裏で支えるプロ達！スタッフ部門
よく分からないと、ササっと流して終わってしまいがちの”裏方”の部門がこちら。
監督はまだしも、他の部門はよく分からないって方も多いのではないでしょうか。
しかし、裏方の部門を理解することで、アカデミー賞を何倍も楽しむことができますよ！
視覚効果賞
最も優れた、視覚効果（VFX）を使った映画を評価する部門です。
1977年から「視覚効果賞」としてその年の最も優れた視覚効果（VFX）を使った映画が選ばれてきました。今や映画では当たり前になった視覚効果（VFX）、2009年からノミネート作品が3枠が5枠に増え、年々注目されている部門です。
誰もが知る不朽の名作SF映画『スターウォーズ 新たなる希望』は、1997年に第1回視覚効果賞を受賞しました。宇宙戦争を描いた『スターウォーズ』は、たくさんの宇宙人や戦闘機、ロボットが登場し、1997年当時の最高の技術を駆使しました。
当時の人にとって、本作の映像は全てが最先端！スクリーンに映し出された宇宙の映像に皆が魅了されたといいます。
また、1997年からの視覚効果の進化が分かる動画を見るとその進化は一目瞭然。
視覚効果賞は、そんな最先端の技術を駆使した映画に送られる賞なのです。
録音賞・音響編集賞
その年にアメリカで上映された、最も優れた録音/音の編集を評価する賞です。
録音賞と音響編集賞って一体何が違うの？と疑問に思う方もいるかもしれません。
録音賞は、撮影現場での録音（レコーディング）や音源の組み合わせ・調整を評価する賞で、音響編集賞は、持ち込まれた音源の選定や編集などを評価する賞です。
2019年に大ヒットした映画『ボヘミアン・ラプソディー』では、クイーンの伝説的ライブを完璧に臨場感溢れるサウンドで再現して録音賞と音響編集賞をＷ受賞しました。
歌曲賞・作曲賞
最も優れた、映画に登場する歌・主題歌 / サウンドトラックを評価する部門
一見違いが分かりづらいですが、歌曲賞は歌詞がついた歌が対象で、作曲賞は特定の歌ではなくBGMが対象です。
歌曲賞は、特にミュージカルや音楽映画が多くノミネートされます。
映画『ラ・ラ・ランド』（2016年）は日本でも大ヒットしたミュージカル映画ですが、第89回アカデミー賞歌曲賞にて、劇中歌2曲もノミネート！そして見事に「City of Stars」にて優秀歌曲賞を受賞しました。
歌曲賞にノミネートされる曲は、本当に素晴らしいものばかり。常連はやはりディズニー作品です。2017年には『リメンバー・ミー』の「リメンバー・ミー」、2013年には『アナと雪の女王』の「Let it go」が受賞しました。例え映画を観ていなくても、音楽だけでも充分楽しめます（笑）
また、作曲賞では『ジョーズ』『スターウォーズ』などで有名なジョン・ウィリアムズが46回もアカデミー賞にノミネートされるという記録をもっています。
メイクアップ＆ヘアスタイリング賞
最も優れた、特殊メイクやヘアスタイルを担当したアーティストやスタイリストを評価する部門です。
実は、この部門では日本人も大活躍！
日本人のカズ・ヒロ（辻一弘）が映画『ウィンストン・チャーチル／ヒトラーから世界を救った男』（2017）にて、あの名優ゲイリー・オールドマンをイギリスの政治家ウィンストン・チャーチルに大変身させて見事に第90回アカデミー賞メイクアップ＆ヘアスタイリング賞を受賞。日本人が個人で受賞するのは25年ぶり！
さらに、カズ・ヒロ（辻一弘）は2020年のアカデミー賞でも『スキャンダル』（2月21日公開）にてノミネートされています。果たして2度目の受賞となるのか⁉ 注目です！
衣装デザイン賞
最も優れた、衣装デザイナーを評価する部門です。
映画の中で役者が着るドレスやコスチュームを対象にしており、日常的なドラマを描いた作品より、ファンタジーや時代劇、SFなどの作品が多くノミネートされています。
映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』（2015）は日本でも爆発的大ヒットした人気映画ですが、なんといってもこの鉄の仮面が印象的ですよね！荒れ狂う砂漠の中を暴走する「マッドマックスワールド」を支えるのが、キャラクターの個性や映画の世界観を作り出す衣装です！本作にてコスチュームを手がけたジェニー・ビーヴァンは、第88回最優秀衣装デザイン賞を受賞しました。
ちなみに、ジェニー・ビーヴァン自身は超ラフな服装を好んでおり、アカデミー賞受賞式にはレザージャケットにジーンズで登場。しかもそのジャケットはスーパーマーケットで売っている偽レザーだったとか（笑）
美術賞
最も優れた美術監督を評価する部門です。
セットや舞台の装飾、大道具や小道具など映画に登場する全ての美術を担当する美術監督におくられる賞です。芸術的な視点で秀でた作品が選出されるので、日常を描いたものより、ファンタジーや歴史系の映画が多くノミネートされます。
映画『ムーランルージュ』（2001年）は、言わずと知れた名作ミュージカルですよね。1890年代のムーランルージュを舞台に踊り子と売れない詩人の恋愛を描いた物語ですが、そのファンタジーな世界観を作り出したのは美術監督のキャサリン・マーティン。煌びやかかつ少し奇妙な『ムーランルージュ』独特の世界観を作り出して第74回アカデミー賞にて見事美術賞を受賞しました。
美術賞に選ばれた作品を観る時は、是非とも舞台やセット、小道具にまで注目してみてください！かなりこだわって作られているはずですよ！
編集賞・撮影賞
編集賞は、最も優れた編集者（エディター）におくられる賞です。
映像をカット、加工、つなぎ合わせる作業が編集であち、映画のテンポやリズム感に大きく影響する部門です。
また、撮影賞は、最も優れた撮影をした人物・作品におくられる賞です。
主に撮影監督に授与されます。
優れたカメラワークで映画の世界観を表現した作品が多くノミネートされています。
脚色賞
最も優れた、小説や戯曲などの原作をベースにした脚本を評価する部門です。
原作がない脚本賞と違い、脚色賞では原作をベースに素晴らしい脚色を施した映画を選出します。漫画、戯曲、小説、アニメなど様々なものをベースにたくさんの実写映画が製作されている中で、どう”脚色”するかが評価の重要なポイントにいなります。ちなみに、続編も脚色賞に分類されます。
映画『アルゴ』（2012年）はの脚本を担当したクリス・テリオは、在イランアメリカ大使館人質事件のニュース記事をベースに脚本を執筆、第85回アカデミー賞にて脚色賞を見事受賞しました。1つの記事から、キャラクターやセリフを生み出して脚本を仕上げるなんて本当に凄いことですよね…。ちなみに『アルゴ』は脚色賞の他に、作品賞・編集賞も受賞しています。
脚本賞
脚本賞は、最も優れた原作のない”オリジナル”の脚本を評価する部門です。
原作のない白紙の状態から作られるストーリーには、独自性と創造性、そして洗練されたセリフを描く脚本が多く評価されています。
映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』（1997年）の脚本は、本作に出演しているベン・アフレックとマット・デイモンが担当しました。
マット・デイモンがハーバード大学時時代に執筆した40ページの戯曲を親友のベン・アフレックに見せたことをきっかけに、映画化を決め、共同執筆したそうです。
1997年の第70回アカデミー賞にて脚本賞を見事受賞しました。
監督賞
その年にアメリカで上映された、最も優れた映画監督を評価する賞です。
これは裏方部門でありながら注目される賞のうちの1つですよね！
映画監督として最も誇り高き名誉ある賞といえるでしょう。
最年少受賞者は『ラ・ラ・ランド』（2016年）の監督を務めたデミアン・チャゼルの32歳。監督賞は、最も作品賞とのつながりを持つ賞ともいわれており、Ｗ受賞する場合が多いです。
まとめ
以上、
- アカデミー賞は全24部門
- アカデミー賞、注目の”裏方”部門の紹介
でした！
意外と知らない、アカデミー賞の部門についてご紹介いたしました！
そして92回アカデミー賞は2020年2月10日！
是非、本記事の内容を踏まえた上で見てみてくださいね！
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