日本の映画ポスターはダサい?海外版と比較してみた。「ダサい」と言われてしまう理由とは?

2020 1/10
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Twitterなどで「日本の映画ポスターはダサい」と見かけたことはありますか?私も何度か日本の映画ポスターの評判が低いという意見を耳にする時があり、なぜだろう?と疑問に思っていました。本記事では、そんな日本版と海外版の映画ポスターを実際に比較し、ダサいと言われてしまう理由を考察してみましたのでご紹介します。

目次

海外版と日本版の映画ポスターを比較

まず、海外版と日本版のポスターってどれくらい違うのか?実際に比較してみましょう。
ダサいか否かは個人の感覚なので人によって違うと思いますので、ここではあくまで海外版と日本版の”比較”をしていければと思います。

映画『白鯨との闘い』

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巨匠ロン・ハワード監督の映画『白鯨との闘い』(2015年)

海外版はとにかくシンプルに、海で漂流した人間の目の前に現れる光り輝く鯨を描いています。
一方、日本版は主演俳優のクリス・ヘムズワースを前面に推したポスターに仕上がっています。そして、大きくキャッチコピー、監督名、キャスト名、簡単なあらすじ、原作の情報などポスターに入れ込んで情報量は多め。シンプルな海外版とのギャップがありますね。

映画『スパイダーマン スパイダーバース』

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大人気スパイダーマンシリーズの初のアニメ化!映画『スパイダーマン スパイダーバース』(2018年)

映画をご覧になった方はご存知だと思いますが、この物語の主人公はピーター・パーカーではありません。
様々な次元があって、各次元のスパイダーマンが登場する本作。
もちろんピーターも登場するのですが、みんなが知っているピーターはあくまでサブキャラです。

海外版では、本作の主人公が別の次元へトリップする姿を描いたシンプルなデザインですが、日本版は主人公だけではなく、元祖スパイダーマンのピーターもしっかりと取り入れています。
そして真ん中に大きくキャッチコピーを入れてますね。

映画『アントマン』

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大人気マーベルからは、映画『アントマン』(2015年)のポスターをご紹介!

アントマンは「身長1.5cmの最小ヒーロー」が活躍する映画。
海外版ポスターでは、その名の通りポスターに1.5cmの主人公が描かれています。
一瞬真っ白なポスターに見えますが、中心にチョロッと黒い点があるのが分かります(笑)
超シンプルなデザインですが、インパクトがあり、さらに「最小」というメッセージが一瞬で伝わるポスターです。

一方、日本版ポスターでは、キャッチコピーと説明分が加わり、主人公も小さく描くものの、パッと認識できるくらいの大きさに拡大されています。

映画『ロブスター』

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海外版と日本版でかなりテイストが違うのが、映画『ロブスター』(2015年)

海外版はロゴと、何かを抱きかかえる主人公のみ。
モノクロでかなりシンプルなデザインになっていますがとても印象的です。

一方で日本版は、登場人物の写真を6つ並べ、あらすじ、キャスト名、そして賞の受賞歴まで加えられています。

映画『わたしを離さないで』

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日本でもドラマ化された映画『わたしを離さないで』(2011年)
カズオ・イシグロのベストセラー小説を映画化して話題になった本作。

海外版では遠くへ走っていく登場人物が描かれた写真にタイトルが加わったシンプルなデザインです。

一方、日本版は登場人物の顔をしっかり見せ、タイトルも「NEVER LET ME GO」から「わたしを離さないで」に変更されています。全体の色や雰囲気はどちらも似ていますね。

映画『ヴィジット』 

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個人的に一番ビックリしたのが、映画『ヴィジット』(2015年)

海外と日本でデザインが違い過ぎているので海外版ポスターを観たときに、何の映画なのか分かりませんでした(笑)

海外版は「祖母の家のルール」である3つのルールが書かれたポスター。一見可愛いですが、端っこには血の跡が滲んでおり不気味な雰囲気ですね。

一方、日本版はザ・ホラー映画な真っ黒なポスター!パット見でホラーで分かりますね!
М・ナイト・シャマラン監督の代表作である『シックス・センス』『サイン』が大々的にでており、「祖母の家のルール」がひたすら書かれております。

映画『ライフ』

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『デッドプール』のライアン・レイノルズ、『サウスポー』のジェイク・ギレンホール、『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』のレベッカ・ファーガソンら豪華キャストが出演したSFスリラー映画『ライフ』(2017年)

海外版は宇宙服の中から助けを求めるような”手”のポスターで、かなりシンプル。
でもなにか不気味で怖い印象を受けますよね。

一方で日本版はキャスト3名の画像、キャッチコピー、そして説明文が加わっています。

映画『ジャングルブック』

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ディズニーの同名アニメを実写化した映画『ジャングル・ブック』

海外版はジャングルの中、人間の少年と動物たちが遠くを見つめるデザインになっています。
一方で日本版は、大きくキャッチコピー、そして長めの説明文が加わっています。

海外版は同名アニメ「ジャングル・ブック」を連想させるような”ジャングル”推しに、そして日本版ではどちらかというと少年と動物と”友情”を推したようなデザインになっていますね。そもそも若い世代は原作アニメも観ている人は少ないと思うので、万人受けするようなデザインにしたのかもしれません。

映画『アリー スター誕生』

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レディー・ガガ×ブラッドリー・クーパー主演の『アリー スター誕生』 (2018年)

日本版もティザーポスター(最初の暫定ポスター)は海外版と同じデザインでしたが、本ポスターはガラッと雰囲気が変わり、右のような仕上がりになりました。

先ほどご紹介した『ジャングル・ブック』同様に、”温かみ”や”感動”を匂わせるようなデザインになっています。また、主演キャストの顔を大きくみせ、キャッチコピーやキャスト名もしっかりと追加しています。

何故、日本版ポスターは「ダサい」と言われるのか?

さて、いくつか映画のポスターをご紹介しましたが、そこから何故日本版ポスターは「ダサい」と言われてしまうのか?私なりに理由を考えてみました。

理由はシンプルで、デザイン性より、動員に繋がりやすいデザインにしたいからです。

日本における動員に繋がりやすいデザインとは何か?
それは、映画の「魅力ポイント」をポスターに入れ込むことです。

そもそも、日本の映画業界はここ数年ずーっと成長していません。
むしろチケット料金は値上がりし、映画を気軽に観に行くハードルが高くなりました。
そのため、「よく分からない映画」は観に行かないです。

キャストの情報、ストーリー、監督、受賞歴など、映画宣伝側から丁寧に消費者に教えてあげなければいけません

そのためどうしても情報量が多くなってしまい、スタイリッシュに見えないのだと思います。

日本版の映画ポスターの特徴を3つ挙げてみました。
実際にポスターを比較して私の考察をご紹介します。

1.キャストをメインに押し出しがち

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名作『シャイニング』の続編となる映画『ドクター・スリープ』(2019年公開)

海外版では、三輪車にのった男の子をメインに置いて、その先にユアン・マクレガーがいるデザインになっています。正直ユアンの顔は全然見えないくらいの大きさなので誰か判断するのは難しいです。ちなみにこの三輪車に乗った男の子は、前作『シャイニング』における重要なキャラクターで、知っている人ならパット見で『シャイニング』の続編だ!と分かります。

一方日本版では、どうでしょうか。

日本において、知名度はあったとして実際に映画『シャイニング』を観たことある人は少ないのではないでしょうか。もし海外版のようなポスターデザインにしてしまうと「何これ?」で終わってしまいます

そのため、日本版ではユアン・マクレガーの顔がポスターの半分を占めて、一瞬で主演が誰か認識できるようになっています。『ムーランルージュ!』『ビッグ・フィッシュ』などの様々な作品に出演しているユアンの知名度は日本でもかなりありますし、誰でも分かるようにキャストをメインにしてポスターをデザインしたのではないでしょうか。

逆に、さきほど紹介した『ヴィジット』のように無名なキャストの場合は、あえてイメージ画像だけでデザインをしています。

2.副題やキャッチコピーを入れて説明が多くなりがち

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2つ目の特徴は、とにかく説明が多いこと!

デザインではなく、文字にして伝えようとするためゴチャゴチャしてしまい、スタイリッシュになりません。映画『空海 KU-KAI 美しく王妃の謎』(2017年)の場合を見ていきましょう。

  • 映画タイトル+サブタイトル
  • キャッチコピー「超天才が挑む、史上空前の冒険絵巻ー」
  • キャッチコピー2「空前絶後のスケールで描く、百花繚乱の極上エンターテインメント!!」
  • 公開日
  • 監督 チェン・カイコー
  • 東宝・KADOKAWA共同配給作品

上記の情報が1つのポスターに詰め込まれています(笑)
そのためゴチャゴチャした印象を受けてしまいますよね。

ちなみに、本作の原題は『妖猫伝(Legend of the Demon Cat』。
この映画は「妖怪の猫の伝説」の謎に挑む空海と白楽天を描いた冒険物語なのです。
しかし、日本タイトルは『空海 KU-KAI 美しく王妃の謎』…まるで違う物語のようですよね。

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映画『空海 KU-KAI 美しく王妃の謎』場面写真
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そもそも中国映画というジャンル自体が日本ではポピュラーではないですよね。
だからどうしても”日本映画だよ!”と伝える必要があったのかと思います。そして長めのサブタイトルまで新しく付けられているのかと。

ちなみに、本作の物語は、染谷将太演じる空海&ホアン・シュアン演じる白楽天の2人組が、事件の謎を解く!というシャーロックホームズ&ワトソン博士的な話なのです。そのため海外版ポスターを見ると、2人組が背を向き合ってペアのようになっていますよね。

しかし、日本版ポスターでは、染谷将太と阿部寛ら日本人キャストがメインに置かれています。ホアン・シュアンは日本だとまだ無名なので(個人的に大好きな役者さんですが)やはり日本人が分かりやすいキャストをメインにしたのだと思います。

3.1人でも動員に繋げたい!ライト層にも分かりやすく!

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先ほどご説明したとおり、日本映画業界はずーっと成長していません。
興行収入も伸びず、日本人における映画館での平均鑑賞回数は1.3回のみ…

そのため、いかに”ライト層”を取り込むかが勝負です。
映画『ヘイトフルエイト』の海外版ポスターでは、主人公の後ろ姿がメインにシンプルなデザインになっています。

日本版では、

  • 主要キャスト全員の顔
  • アカデミー賞大本命!
  • 映画のジャンル
  • 監督名
  • キャッチコピー

が全て丁寧に記載されており、かなり分かりやすくなっています。
例えタランティーノを知らない若者でも「アカデミー賞大本命!」と記載されているだけで、良い映画なのかも?と思うことができます。

そのようにライト層をターゲットにして分かりやすく、魅力ポイントを盛り込んだ映画のポスターが日本では多いと思います。

まとめ

今回は、

  • 海外版と日本版の映画ポスターを比較
  • 何故、日本版ポスターは「ダサい」と言われるのか?

についてご紹介しました!

日本の映画ポスターはダサい!とよく言われていますが、それには日本の映画業界の色々な理由と目的があるのだと思います。

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