日本でもリメイクされた大ヒット映画『サニー 永遠の仲間たち』のカン・ヒョンチョル監督が、1951年のコジェ島捕虜収容所を舞台に、タップダンスを通し、人種を超えたチームで絆を深めていく姿を描いた音楽映画『スウィング・キッズ』。主演はアジアで絶大な人気を誇るK-POPグループEXOの D.O ディオが務めています。
2018年の韓国では、公開わずか9日で動員100万人を突破し瞬く間に話題となった本作。
私も東南アジア旅行の際にいち早くウォッチしてきました。
実際に映画をみてどうだったのか?感想と見どころ、そして事前に知っておくとより映画を楽しめる豆知識などをご紹介します。
ネタばれ無しなのでご安心ください!
日本公開が遂に決定!
2018年12月19日に韓国で公開され、日本公開はいつされるのか!?とワクワクしていた本作。
そして遂に!2年遅れで2020年2月に日本公開が決定しました!
配給するは、クロックワークスという洋画邦画問わず良質なミニシアター作品、アジア映画などを中心に配給している会社。(私はこの会社が配給した中野量太監督『湯を沸かすほどの熱い愛』が大好き…)
上映館は、都内だとシネマート新宿をメインに、他4館での上映が決まっています。
日本国内でも上映館が多くないので、比較的小規模な展開になりそうです(泣)
また、都内で観に行くのであれば、グランドシネマサンシャインか立川シネマシティでの鑑賞をおすすめします!
グランドシネマサンシャインは昔のレトロな映画館のような雰囲気なので、50年代が舞台の本作の雰囲気とピッタリ。今年オープンしたばかりなので綺麗ですし。
立川シネマシティは、音響設備が素晴らしいので、音楽がたくさん使用されている本作との相性も抜群ですよ。
映画『スウィング・キッズ』概要
まずは、映画『スウィング・キッズ』のあらすじ、キャストやスタッフなどの基本情報についてご紹介します。
あらすじ
朝鮮戦争真っ只中の1951年、韓国・コジェ島捕虜収容所。
新しく赴任してきたアメリカ人所長は、対外的イメージアップを図るため戦争捕虜でダンスチームを結成するプロジェクトを計画する。
そのプロジェクトを任されることになった元ブロードウェイタップダンサーの黒人下士官ジャクソン(ジャレッド・グライムス)は、無口だけど心にダンスへの情熱を秘めている少年ロ・ギス(D.O ディオ)、4カ国語を話すことができる少女ヤン・パンネ(パク・ヘス)、行方不明になった妻を捜す民間人捕虜のカン・ビョンサム(オ・ジョンセ)、ダンスの実力を持ちながら栄養失調の中国共産党軍の人捕虜シャオパン(キム・ミンホ)と、ダンスチーム「スウィング・キッズ」を結成することに。そんな北朝鮮人の捕虜たちと黒人アメリカ下士官の”寄せ集めダンスチーム”に、とある公演の話が舞い込む…。
本作は、人種や思想、イデオロギーが異なる彼らが”タップダンス”を通して変わっていく姿を、ジャズの名曲と共に描いた音楽ヒューマンドラマです!
原作は、コジェ島にある収容所を舞台にした韓国ミュージカル「ロギス」
原作は、「ロギス(로기주)」という韓国ミュージカルです。
このミュージカルは観たことがないので映画とどう違うのかは不明ですが、
生の舞台でタップダンスと歌が聴けるなんて素敵。いつか行ってみたい…。
実話ではありませんが、このミュージカルは実際にコジェ島捕虜収容所で撮影された1枚の写真からインスピレーションを受けて作られたものです。
こちらが実際の写真。
写真家のワーナー・ビショフ(Werner Bischof)によって撮影されました。
自由の女神像の前で仮面をかぶりダンスをする北朝鮮捕虜が映っていますね。
実際、アメリカ兵によるダンスや大会といった催しは頻繁に開催されていたようですよ。
キャスト
D.O ディオ(ロ・ギス役)
主演は、韓国の超人気K-POPアイドルグループ、EXOのメインボーカル D.O ディオ。
K-POPが全然分からない私は、この青年が誰だか知らずに鑑賞していました(笑)
アイドルといっても彼の演技力とダンス力は本当に素晴らしかったです。
劇中では、無口で感情を露わにしない青年を演じていますが、瞳の中に潜むダンスへの情熱、そしてそれが爆発した時に、踊り狂う姿に圧巻。ひたすら圧巻。。。
しかも、北朝鮮人捕虜の役だったので発音は北朝鮮のなまりで話しているらしいです(日本人には分からない、、)
ジャレッド・グライムス(ジャクソン役)
黒人下士官ジャクソンを演じたのは、実際にブロードウェイのプロのタップダンサーであるジャレッド・グライムス。
ブロードウェイ・ミュージカルの最優秀ダンサーに贈られるアステア賞を受賞した超実力者です(そんなプロとダンスバトルをしちゃうD.O ディオは本当にすごいと思う。。)
映画にも数本出演しているようですが、日本公開している作品は本作がはじめてのようです。
作品情報
原題 | 스윙키즈 |
英題 | SWING KIDS |
製作国 | 韓国 |
ジャンル | 音楽、ドラマ |
上映時間 | 133分 |
監督・脚本 | カン・ヒョンチョル |
キャスト | D.O ディオ (EXO) 、ジャレッド・グライムス、パク・ヘス、オ・ジョンセ、キム・ミンホ |
公式サイト | 映画『スウィング・キッズ』日本公式サイト |
映画『スウィング・キッズ』見どころ
『サニー 永遠の仲間たち』カン・ヒョンチョル監督・脚本の7年ぶりの新作
本作は、韓国ではもちろん、日本を含めてアジア各国で大ヒットした映画『サニー 永遠の仲間たち』のカン・ヒョンチョル監督の7年ぶりの新作。
日本でも、大根仁監督・広瀬すず主演で『SUNNY 強い気持ち・強い愛』としてリメイクされたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
カン・ヒョンチョル監督の作品は、人間味にあふれてコメディ要素も多く、安定した王道を行きつつ奥深いので個人的にも大好きな監督の1人です。
『サニー 永遠の仲間たち』同様に、登場するキャラクターは楽しくて人間的で愛着がわいてしまうものばかり。
また、本作はダンスシーンが多いので、足元だけを移したり、下アングルからのショットなど、臨場感あふれるカメラワークばかりで本当に楽しかったです。
ちなみに、『サニー 永遠の仲間たち』に出演しているキャストも本作に出演してるので是非探してみてください(笑)
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ダンス!ダンス!ダンス!タップに情熱を注ぎ、ひたすら踊り狂う!
本作の2つ目の見どころは、やはりタップダンスです!!
劇中にはたくさんのダンスシーンが登場しますが、圧巻のパフォーマンスに釘付けになってしまいました。
タップダンスのバトルシーンとラストシーンは鳥肌ものなので必見です!
また、ビートルズなどの懐かしい名曲や「シングシングシング」といったジャズ音楽がたくさん登場するので、音楽好きにもたまらないのではないでしょうか。
朝鮮戦争中の重たい時代背景なのに、しっかりエンタメ映画になっている
”ならず者”がチームを組んでダンスを踊る”、友情と青春の音楽映画ではありますが、よくよく考えると、本作は朝鮮戦争中の捕虜の話なのでかなり重いテーマです。
”ならず者チーム”を取りまとめるのは、同じく”ならず者”の黒人の下士官という設定にも、当時の人種差別の思考が伺えます。しかも社会主義思想の北朝鮮の捕虜が、タップダンス(アメリカのダンス)を踊ること自体、政治的な意味を考えると意味の深いものですよね。。
本作はそんな人種やイデオロギーを丁寧に扱いつつ、カン・ヒョンチルの手によってきちんとエンタメ映画として確立されています。
感想
タップダンスシーンに圧巻!そして、韓国だからこそ描ける作品だなあとしみじみ思う
とにかく、タップダンスかっけええええ!でした(笑)
ミュージカル好きの私にとって、『スウィング・キッズ』の音楽・ダンス・衣装・美術、全てが堪らなくドツボでした。映画にしては、ちょっと舞台っぽいところが多い(悪く言うとリアルじゃない)なとも思いましたが、もうそんなのはタップダンスシーンで払拭。
あと、雰囲気は全然違いますがどこか『戦場のメリークリスマス』ぽかったです(笑)
また、映画を観に行く前に、最低限でも朝鮮戦争についての知識があった方が何倍も深みを感じることができる思いました。
朝鮮戦争は、1950~53年に勃発したので本作はそのちょうど半ばの時代設定。
韓国と北朝鮮は勝敗がつかず、現在も休戦中ですね。
変な話いつ戦争が起こってもおかしくないのが現状です(韓国男児に課されている徴兵制もそういった理由)
戦争を題材にした日本映画は、どうしても”過去”なのでリアリティがなかったりただの振り返りになってしまいがち。しかし現在も休戦中の韓国だからこそ描くことができる戦争映画のリアルさにいつも考えされられます。
本作は、何も考えずに映画を純粋に楽しむことも出来ますが、各シーンの歴史的・政治的な意味を考えてみると何倍も深く楽しむことができるかもしれません。
おすすめ度 4.5点 / 5点
- ミュージカル・ダンス・音楽好きにおすすめ!
- 50年代のレトロな雰囲気が可愛いので女子におすすめ!
- 韓国の戦争歴史や政治に興味があるなら勉強になる!
エンタメ映画としてはもちろん、社会的な一面も兼ね備えた本作。
老若男女問わずに楽しめるのではないでしょうか。
海外からの評価
海外での反応はどうでしょうか?
- アメリカの有名映画サイト、IMDBでは、7.5 / 10点
- アメリカの辛口レビュー映画サイト、Rottentomatoesでは、63 / 100%
- 韓国のレビューサイト、watchaでは、5 / 5点
海外レビュー抜粋
- この映画が大好き。サウンドトラックは素晴らしかった。デュオは俳優として本当に成長した。この映画は楽しかったですが、それでもティッシュを持参することをお勧めします。
- 私は朝鮮戦争についてよく知りません。だからそれについて本当にコメントすることはできません。しかし、それを除けば、この映画は楽しくて魅力的でした。私はダンスバトルを楽しんだし、ステージにいるときも息を止めていた。
- 北朝鮮と韓国の対立を韓国人の目から見るのは興味深い。それは戦争の物理的な戦いではなく、イデオロギーの対立についてを扱っていて他と違っていた。
Rottentomatoesの評価が思っていた以上に高くなかったのが引っ掛かりますが、
EXOファン以外の人たちも、 D.O ディオの演技とダンスに圧巻したという意見が多く見かけました。
まとめ
以上、以下についてご紹介させていただきました!
- 日本公開について
- 映画『スウィング・キッズ』概要
- 映画『スウィング・キッズ』見どころ
- 感想
- 海外からの評価
日本での公開は、2020年2月21日 シネマート新宿ほか全国順次公開!
前売り券も販売中のようです。一般1800円のチケット料金が1400円で観れるのでお得ですね!
是非、気になったら劇場に足を観てください!
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